rapture of the deep/あすくれかおす
 


呼吸ばかりしていると部屋の中が夜になった。わずかに浮かんだ思考が次々と途切れていった。モノたちのほうから視界に飛び込んでくる。現象を信じられずに、目を閉じる。閉じるたんびに頭の中で、何度もシャッター音が鳴る。何度も。罪を。犯してるみたく。





朗読じゃなくて、蝋燭でもよかった。ゆらゆらと熱を小さく留める。遠くで見つめる。溶けていく。近づきすぎると、非常に熱い。
タイガー魔法瓶に冷えたビールをつめる。近所をぶらつく。呪文を唱える。
唱えてみたのに、ですます調で笑える世界に、もう自分がいなかった。漫画の、はしがきの、登場人物紹介から、フェードアウトしている。ひとりきりに
[次のページ]
戻る   Point(2)