薔薇の衣を纏って眠るさなぎ達のための詩/瑠王
 
人類は、まだ生まれたばかり



時の口がガラスの乳房にぶら下がり
刻々と私の砂丘は完成されてゆく
埋もれゆくさなぎは薔薇の衣を纏って眠る
彼が(もしくは彼女が)飛び立つのを目にすることはないだろう
それでも、私の死を超えて羽ばたき
この砂丘を後にすることを私は知っている


愛用のペン先は何より先端
向こう見ずに私の毎日は綴られてゆく
昨日の夜でさえベッドの上で褪せてしまう
彼らが(もしくは彼女らが)薔薇の筆をもって色をつけるのだが
どんなに美しい絵画も劣化を免れることはない
それでも、この砂の墓の上を訪れ
誰かが手を合わせる日は必ず来るだろう


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