偽造硬貨との3ヶ月に渡る対話で、今朝気づかされたこと。…そして別れ。/ひとなつ
「私はチープだから、善悪すらも買えやしないよ。」
財布の中から彼女は言った。
紹介しよう、彼女こそが100円の、偽造硬貨だ。
僕はキオスクの前で、カロリーメイトにしようか、
ウィダーインゼリーにしようかと朝食選びに悩んで
いるフリをして、財布の中の彼女と雑談するのがこ
こ3ヵ月くらいの日課だった。
確かに彼女の言う通り
偽造するなら福沢諭吉に限るはずだ
100円の偽造硬貨?
ガキか?
こんなもの、誰も作らないって分かってるから本物
か偽物かなんて疑うまでもない。
こいつは自販機の下敷きになるまで、おそらく永遠
にオリジナルの100円硬貨と
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