夕焼けがあり続けるために/キッチン
 
 夕焼けが夕焼けとしてあるためにポプラを植える人達の列

 初めから数えて22本目はジョシュアと名付けた貴方のポプラ

 夕焼けが空を焦がしてしまうので明日の日傘を準備してあげよう

「ねえ、ジョシュア、貴方を賢くしてあげる」そう呟いて彼女はくちづけ

 夕焼けがあり続けるためにいるポプラの番人日給一万

 彼女無きポプラの前に立ちながらルージュのあとをなぞる中指

 夕焼けの海へと宇宙飛行士は落ちて地球の青さを忘れた

 ジョシュア、その刻印がただ一つ君を物にたらしめている

 夕焼けが無くなる夜の浜辺には「チチキトク」知らせるボトルシップが

 初めから数えて22本目のポプラに落ちる雷の夢

 夕焼けの色したコートを着て回るポストマンらは定時退勤

 僕はまた彼女のことをただみてる ジョシュアのあとに座る彼女を

 夕焼けの続くおかしなこの町のポプラのベンチでただ夜を待つ

「ねえ、ジョシュア。これが恋と知ったのは、貴方がうたれた雷の夜よ」

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