クロスロード/ゴースト(無月野青馬)
少年は転倒した
倒れた少年
引力に振り回されているだけだった
その少年の真横を少女が駆けていく
接点、この十字路を
一昼夜走り回って
時間軸が乱れて
少女と女は呪詛を叫び
走り回る
バイオリズム
「人はチェスのように操るだけだから笑うしかないね」
少年は
混濁する意識の底で愚痴を言う
「性悪説だね」
「それは性悪説だね」
また、やんわりと、透明な声
倒れたままの自転車のペダルがぐるぐると回り続ける
この十字路で
少年は背中が痛くなる
「帰ろう」と促されて
少年は渋々立ち上がる
天体は今日も遠かった
肉体から既に離れていた
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