バルタン星人(怪獣詩集)/角田寿星
 
よい歩き
5次元の真実に
V字形の頭部器官が にぶい光を放つ

宇宙忍者
バルタン星人だ。

古い殻を脱ぎ捨てるかのように
夜のビルを見おろし
ウルトラマンと無言のまま対峙
空中戦のはてに スペシウム光線を浴びて
撃墜された

バルタン星人は
燃えながら堕ちていく。

そして今
背後から
空間のスリットから
幻影の 黄色いふたつの眼が浮遊して消える

バルタン星人だ。

バルタン星人だ。


バルタン星人だ。
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