発狂を願って/智鶴
 
夕焼けに染まる溜息と
ただ、虚しく哀しく伸びる影
汗を滲ませて夢を見ていた
狂い出す寸前のような空

踊る姿を霞んだ夢のような光で
届きはしない
だから全ては美しいまま消えていける

忘れられた行為と
僕の嘘を暴くのでしょう
ただ無感情に
愛し合う声が聞こえる筈もないよ
何かが僕を壊していく
お願い、目を逸らして

指先を払う一瞬で過ぎた暖かさも
凍えたように見えなくなって
もう今は何も信じられなくて済む

狂い出すようなオレンジの下で
僕の影を引き裂いて遊ぶ子供
そのまま硬いコンクリートに張り付いて
死ぬまで無情に踏み付けられていたい

貴女が嫌いと言った煙草の
白い煙で戯れてみよう
触れられない柔らかさが
貴女に少しだけ似ている

わざとらしい仕草で煙を払って
影を残して
夢を見ようか
貴女に痛みも残せないで
狂える筈などないよ

夢を教えて
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