スキー場/小川 葉
 
 
 
お正月
母の実家から見える
山脈の麓にスキー場があった
数キロ続く田の先にある
駅前の街のそのさらに数キロ続く
田の果てに
スキー場が見えていた

とても遠いところなのに
小さな白いゲレンデを滑る
スキーヤーの影が肉眼で見えた

あの小さな影は
誰だったんだろう
あれから二十年以上たつけれど
今も生きていたらうれしい

何があったわけではないけれど
何かがあったに違いないから
いつからか母の実家には
母さえも行かなくなっていた

あの家で生まれ
あの家で暮らして
僕が生まれた家に嫁いできた
母さえも
帰ることのできない家

あの高
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