おくすりはあなたにひつようだろう/あぐり
二週間に一度
電車に揺られ
ヘッドフォンで耳を塞いでもうなんにも余計な物は聞かないように
通い慣れた踏切/目的地以外は何もわからない駅/ひゃくにじゅうえんで三時間珈琲
先生はどうですかとしか聞かない
私もそれ以外は答えない
(なんでそんなことをするんですかあなたはいつだって)
でも先生、
私の答えは一つの例であって
それはもうモルモットにも劣る陳腐な例であって
いちいち理由を言ってられないんです
だから先生には描いている絵の話しかしない
(絵に生きてますそれはもう健全に)
最後に
薬は減りませんか、と聞く
これが私の一番のいちばんの本心だと思って
かたくなに
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