あふれる/キキ
見失った起点をとりもどすための儀式。なぜそれが必要なのかはわからないけれど。ホームから(赤い)傘を放って、虹を呼ぶ。虹は来る。(生き物のように)。雨は去る。対になろうとする、ことば。匂い立つ夕べひっそりとひらいた葉のみどり。わたしは知っている。丸まった(生き物のような)塊りをなでて魔法をかけたから。
朝。なんども繰り返す(発声される)朝。強い風に雲が飛ばされていき、黄色い嬌声を放っている。そんな朝。夕方には狂ったように雨が降る、そんな予感に満たされた朝。
兄と。(たぶん)父と。プールに行った日のことを克明に記録する。
先生。先生はその場にいない
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