竦みあがった鉄塔/KETIPA
それどころか動物か植物かすら もういない
それより連れている山羊の体調がよくない
こんなくすんだ地の中から
場違いにのびた鉄塔があった
上から突き刺さったようにも
下から突き上がってきたようにも みえる
とりわけ強く日光を浴び続けて
もう金属疲労なんてものではない
老朽という表現もまだ足りない
彼らの注意はただ
その銀光りする鉄塔の根元に
湧き出ている半透明な水にそそがれている
彼らがまきあげたしぶきをあびた
ので鉄塔は
乾ききった土壌のような細かい亀裂がはしった
縮みあがった鉄塔の振動音は太陽行きの集団にまで響き渡った
太陽集団はそれを音楽と勘違いした
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