日々 (2004.9.7)/和泉 輪
 
それは私ではない誰か
窓際の花瓶の水を
新しく換えるのは
いつも気付かぬうちに


橙色の陽が差しこむ
開け放たれた窓から
手を振って身を乗り出す
あれは私ではない誰か


肌触りの良い匂いがする
丘に建つ校舎を歩いている
きっと私ではない誰か
はやる気持ちを抑えながら


脱ぎ捨てていった夏服は
再び初夏のために洗ってある
そして私ではない誰かと誰か
共に幸せでありますようにと
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