そよめきと鳴る窓は君の外に/青木龍一郎
 
いた。


「ハッ。ハッ。ハッ。青木君、これを着たまえ」


仁は自らの服を全て脱ぎ捨て全裸になると、それを僕に丁寧に着せてくれた。
そして笑いながら部屋の壁をボコボコに殴りつけ、豪快な穴をたくさんと開けた。
パイナップルを片手で握りつぶしたり、厚い鉄板を真っ二つに引きちぎったり
親指と人差し指でクルミを潰したりしてひたすら笑っていた。

僕の冷え切った体は段々と溶け始め、元気も取り戻した。




発情した坂東英二が野々村真に飛びつきキスをした。
「マコトォー。マコトォー。」



草野仁は笑いながら、片手で黒柳徹子をひねり潰し
「ドンダケェー」を連呼した。



いつの間にか冷たい風は止んで
少しの熱を含んだ黄色い風が僕らを撫で回した。
夕焼けに満たされた部屋の中で
みんな少しだけ顔を赤くしていた。
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