きらきらを追い越して/みぞるる
 
僕の泳ぎたい欲求は
どこに始まり どこで終わるのだろう

幾度と無く
水中でくねくね泳ぐ小説を書いた

黒鉛の散りばめられた原稿用紙は
水の雫がぼたぼた落ちて
瞬く間にブルーに滲む

水の重みに包まれて
くるくるくるる
こころの孤独な隙間が満たされいく

 ぼこ
  ぼこ
ぼこ
 ぼこ

泡がずっと上へ昇っていって

僕は今まで
自分の呼吸なんて 見えないものだと思っていたんだ

水底で仰向けになって
ゆらゆら不自由に揺らされながら
僕は
ガラスの破片のような水面のきらきらを

ずっと見ていた

ずっと
ずっと

(向こうに 帰りたくない…)

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