THE END OF THE WORLD/ゆりあ
手で十字架に触れようとした
「やめて触んないで」
十字架をぎゅっと握りしめながら家に帰る
真新しいマンションの前まできて十字架を外してスクールバッグの中に急いでしまう
お母さんただいま
夕飯いらない
夕飯もいらないし先生もお母さんも友達も彼氏もお金をくれるおじさんもテレビも学校もみんないらない
あの娘だけいてくれれば私はいい、と雨の日の神様に願う
でもこんな日々も
いつか消えてなくなってしまうってことくらい知ってる
私は誰かのレプリカになってあの娘と会うこともなくなって周りの男に媚び売って生活するんだ
そんなことになる前に
私を殺して
それでも私は
レプリカの方をなんの迷いも無く選ぶ
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