少女B/山中 烏流
彼女はブランコがお好き
路地裏に佇む溜まり風や
お向かいさんの飼い猫に
思いを馳せている、毎日
思いついた恥ずかしい台詞を
口癖のように好き勝手呟いて
「夜の街で散歩でもいかが」
彼女は常に空想と遊びながら
行き帰りの自転車を走らせる
誰も通わない高架下の小道で
まるで他の誰かを探すように
大声を張り上げて歌っている
布団の中の寒さは
夏に被る毛布でも
消し去れはしない
わざとらしい笑みで
彼女は一日を過ごし
味すら思い出せないでいる
いつかの煙草を吸う真似を
鏡の前で、ひたすら
繰り返
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