通り雨が沼を覆う/北村 守通
 
波紋がひろがっていた

天上からも貫ききれず
水底からも貫ききれず
貫き通せなかった
幾多の
もろもろが
波紋となって
分解され
吸収され
なにごともなかったかの様に
戻されていった

一瞬
ほんのわずかの間だけ
ほんのわずかなくぼみを作ることには成功していたが
瞬く間に
本来あるべきとされる
調和のとれた平面へともどされるのであった

界面は
揺らいでいたが
それでも本質的に
界面であることは変わらなかった
そのこと自体は
揺るがなかった

そして
短い抵抗も
やがて終わるのだった


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