わたしたちのsaga/伊月りさ
 
ように熱い背中と、
胃の痙攣に支配され 震えるからだを、
一秒でもはやく楽にしてあげたい
一秒でもはやく楽にしてあげたかった
あなたの寝息をきいてから
点、点、を鏡で確認し
指で拭って 手を洗うときには
固形物の少なさを見て
ああ、それでもすこしは栄養がとれてよかった、と思った

あの
お父さんはきっと、
生理中の女とはセックスしたくない人種で
繋がっている臍の緒を見たことがない人種で
お父さんはわたしをどう思っているんだろう
お父さんはきっと、
と、思春期にはそう思っていた女子の一人です

わたしは、わたしのいのちが溺れていたなら
かならず助けにいくでしょう
時には海、時には肥え溜め、
容赦のない
自然、人ごみ、社会、あらゆる思想、
これは勇気ではない

わたしは失えないのです
わたしたちであるということを
なので、あなたがいま、血まみれの性器を見ないよう
暗闇で浴びるシャワー音がさびしい
それでもあなたに抱かれるときの
いのちの鼓動が誇らしく
あなたの赤ん坊を産みたい
そして乳首を噛まれたい、思い切り、強く
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