「踊り狂うカメレオン、松風の如く」/Leaf
 
徒に真夏の冷気はぎゅうっと胃を握りしめる

丁寧な講釈も机の上の地団駄で全て御破算だ

徐に立ち去る背中に飛び交う怒号も全ては徒徒(あだあだ)しく上の空

何の合図か、踊り始めるカメレオン

氷が解け崩れグラスの縁を叩く音が風鈴を彷彿とし余りに心地良い


からん、からん、からん


夏の彩りは神社仏閣の面前で執り行われる居合の演舞に始まり

石段を下ると鳥居の前後を繋ぐ夜店の賑わい

和装男女の風情も今や真新しく、袖衣に見えるは英字の羅列

一際高く壇上にてマイクロフォン片手に汗滾る雄弁な演説も

真夏の終焉に似た祭の風景の一部と化しているのに気
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