まつげ/ゆるこ
 
目が覚める瞬間の耽美、すなわちそれは曖昧な伏線を凝縮した線路図のようなもの
一連の流れは稚児の指先が母親の元に辿り着く前に行われ、
そのことによって絡めとられた誰かの睫毛は
昨日へ帰るように促し、私は眠る



サボテンの花がまたおおきくなったね
おばあちゃんは笑いながら水をやっている
枯れ果ててどうしようもなくなったヘチマの植木鉢に
延々と、水を食べさせている



昨日帰ったはずの睫毛は今日も、目覚める瞬間の耽美を引き連れて、私を訪ねる
もう、うんざりなんだよと言えば、睫毛のくせにボロボロ泣く
どうしろっていうんだよと言えば、誰かの目もとへと走り出した

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