不気味な水平線/熊野とろろ
 
うす暗やみの酷い雲
褪せた紫の大陸
農村地を走る若い自転車

城へ、城へ
うす暗やみの酷い雲が立ちこめた
生きる術もない
だからそれが其処のルールさ
生きる術もない
古城のようなアンティークでもない
雨音がする
彼方のほうで
巨人の足音
城へ、城へ

すべてが2割増しに傾いて
平面に接近する夢を見た
其処にも若い自転車は登場する
あれは原風景としての…
違う、妄執だ!
閉塞感にあきれ果て
こんなに歩いて来たじゃない

若い自転車に乗っていたのは
若いというよりはまだ幼い
大人の腰にも満たない
無邪気な少年でした
出来損ないのバカ息子
そんなも
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