さあね/瑠王
さあね
と、言ってごらん
それだけで千と
一夜の妄想を掻き立てる
さあね
と、言ってごらん
それだけで君の
血の色は藍にも黄にもなる
さあね
と、言ってごらん
夜が銀の杯をひっくり返して空に
幾つもテントを張る
さあね
と、言ってごらん
長い廊下の向こうに
姿を隠してあるいは
耳もとで
さあね
と、言ってごらん
それだけで君の
暦は百年先も謎めくから
それだけで朝は
要らないなんておもう
さあね
と、言ってごらん
それだけで僕は
君を一生忘れない
言ってごらん
さあね、と
戻る 編 削 Point(7)