浄土ヶ浜/テシノ
ふと目に映る風景の
心と言葉の間に
いつでもその姿を見る
夢とも違う
記憶とも違う
しかし既に現実でもなく
雨よ降れ
気の違うほどの激しさで
全てを押し流す濁流となれ
河岸に寄る優しいものにも
小石混じりの泥水を浴びせ
削りながら破壊しながら
瓦礫の渦を巻き
轟音を泣き叫び
不毛の流れとなり果てて
やがて海へ出る
辿り着いた浜辺の白さと
青い波の前に立ちすくむ
煩わしく頭の中に響いていた呼吸は
揺り返す波の音へと変わっていく
生きる者の足跡はつかぬ浜辺に
ああ
確かにその姿を見た
距離を計るように風が吹く
入ってはいかれぬ遠くから
指をさされて振り向けば
視界を白い鳥が飛ぶ
己が荒らしてきたものの上を
拭うようにして一羽ゆく
名の付けられぬ感情の
心と言葉の間に
いまだにその姿を見る
愛おしいとも違う
懐かしいとも違う
しかし既に哀しみもなく
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