天使になった瞬間/ゆりあ
「ねえセルマ聞いて、あたし天使なんだ」
「え?どういうこと?どこに羽が生えてるの?」
「背中、に決まってんじゃん。もしかしてセルマ見えないの」
「うん、なんにも」
あたしには翼が生えてる
わかるの
目には見えないけど
だってこれほど体が軽くなったように感じたのは初めて
怖いくらい
ねえ本当よ、感じるの
脚が勝手に外へ出向いて行ったの
突然あたしがあたしじゃないみたいになったの
僕は動けなくなったら瞳を閉じてあの海のことを思い出す
僕だけの海
そうすると自然と脚が軽くなって
一人で生きていけるんだ、と思う
天使が手を引いたくれているような気がした
神様に会えたような気がした
やっと、朝という永遠にたどり着けたような気がし、た
ねえでもセルマ、気付いたんだ
私翼はあるのに、飛べない
どうして?どうして私飛べないの
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