キジマさんを知ってから/石川和広
生前全く知らなかった人が亡くなって、知らない人なのに、とても悲しくなり、その人のこと無性に知りたくなる。四日前。僕は最近ある詩誌の端に詩が載って喜んでた。同誌にはキジマさんという人が詩を掲載されていた。いいなーと思った。ヒラカナ多いし。頭の重い僕には優しい。涼しい。目の奥が。 後記をふと読んで、頭の中で白い袋がふくれた。校了直前、キジマさんは死んだ。後記の文字は泣いていた。しかしキジマさんは、全然知らない人だけど、その詩の中で、お休みを云ってるみたいだったんだ。今日僕は、フラつく足で彼の本を借りに行った。
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