かえりみち/瀬崎 虎彦
 
おなかが空いてパニックになった
夕陽が不気味に背中を追ってくる
こういうときなんだ誰からも
愛されていないとわかるのは

こどものときからそうだったんだ
証人は僕しかいないけれど
自分はひとりぼっちで生きていく
それほど悲しいことではないと気づいてた

いつのまにこんなにおおきくなったんだろう
いつのまにこんなにたくさんのことばをしり
いつのまにこんなにいろいろのきもちをだき

いままでとおなじこどくのプールにうかんで
いままでとおなじかなしみのソネットをかき
いままでとおなじあいをうたっていきていく
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