巣/伊月りさ
きみの言葉
岸辺の水草
抱き合った夜のまるい小石
わたしの言葉
艶やかな泥
探り合った分だけ嵩(かさ)んだ枯れ草
ひとつずつ拾い集めて
一年間を歩いていく
ほら、
晴れだというのに布団にもぐり、肌を楽しんだ贅沢が
無数の小枝、たっぷりの土壌に散っている
積み上げて
きびすを返して遠い南へ
きっと腐蝕過程のやわらかな枝が
疑心の数だけ落ちているだろう
痩せた思い出は針金になり
日陰に刺さっているだろう
それでもわたしは巣をつくる
たとえ太陽と契約しても
焼け死ぬ前に帰れる場所
きみを守る
掌のような寝所
恩を吸って育っているので
こ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(7)