わたしがいなくなってもあなたがそこにいる/瀬崎 虎彦
 
らせんを描きながら
わたしとあなたは
おちていくのですね
だれにもよびとめられることなく

口を吸い合っておたがいの
すべてが分かったような
錯覚におちていくのですね
右手に左手を結びながら

アトリエに引き伸ばされた午後が広がり
わたしたちの最後が幸福な結末ではないと
吾亦紅が告げています

愛されながらひらいていく
体温にのせてつたえていく
わたしがいなくなってもあなたがそこにいる
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