おわらない白さ/みぞるる
 
寝続けるのはつらいと笑うきみの声は
瞬く間に白い壁に吸い込まれて

ああ 病院の白さはここにあった
と林檎の皮を剥くナイフが震えた



 いつかの海は
 ただしっかりと海岸を歩いていたきみの
 白い手とともにある

 止まない波
 潮のかおり
 砂の暖かさ
 欠けた貝殻


きみの手は
白いシーツに溶け込んで
石像のように佇んでいる

いつまでも剥けない林檎が
あいまいなまま
白に滲んでゆく
病的な白に
滲んでゆく
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