森生/エチカ
これ以上
森には必要とするものがない
これ以上
世界には必要とされるものがない
私たちの食事を邪魔するものは
あなたたちではなく私たち自身だ
私たちの絵が完成されたとき
あなたたちは手をたたいて喜ぶことしかしない
私たちは完成を怖れているのに
あなたたちはおそらく満面の笑みで私たちに拍手を送る
家の庭で生命体の一種がはしゃいでいる
散策を拒んだ私は
命を恐れたおろかな子供
小さな自然の営みを
恐れおののき、塞いで閉じたおろかな子供
小さな手で握りつぶし
掌に広がった完成された世界を見て
悲しくて悲しくて
泣き叫んだ
森の中の一種
絶筆
もうこれ以上かけない
そう思ったら 生きていることが楽しくなったのです
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