社会的総資本とは?/A-29
るコミュニズム、柄谷行人、批評空間)
それにしても、「国家という形で登場した」という社会的総資本とは何であるのか。戦前の社会政策の研究者である大河内一男は次のように述べている。
《もともと個別資本に対置せしめられた社会的総資本といふのは一つの抽象であり、経済の平準的循環を資本制経済の条件の下に確保しようとする場合にみたされなければならない諸条件を指称するものであって、それが「資本」といふ表現を与へられていゐるのは個別資本に対する比喩的意味に於てであり、厳密に言へば社会的総「資本」の立場は、資本の個別資本的営利性が否定せられるところにはじめて成立する概念だと言へよう。またその限り
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