釣り堀/北村香織
 
 青空と木々がまどろんでいる おだやかな日曜日
 
 水面に 銀いろの滑る釣糸が射す
 そこかしこに波紋を浮かべてゆく
 それをただ見ている おだやかな日曜日
 
 水面に 銀いろの滑る釣糸が射す
 見えない棘がある (わたしはそれを忘れてしまいがちだ)
 大きな魚が誰かの為にのたうつとき
 どうということはない傷が しかし無数のそれが
 網にとりつきのたうつとき 
 そのときに
 ああ、 と
 
 青空と木々がまどろんでいる おだやかな日曜日
 わたしも少し眠たい
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