俺はご先祖さま/小川 葉
って、コマーシャルになって、ふと祖母を見て、目が合うと、
口をおさえて俯いて照れながら笑っていた。
そんな景色が、目を瞑ると、次々とよみがえる。
部屋の壁には、日本刀が額の中に飾られていて、
あれは本物だったのかしら、でも、もし泥棒が入ってきたら、
あの日本刀で、僕が泥棒を退治するのだと、真剣に思っていた。
壁時計の下には、大平総理のサイン色紙がある。
あれも本物だったのだろうか。
その色紙の下には、金庫があって、家は商売をしていたから、
経理をしていた叔父が、時々それを開けるのを見ると、
中にはお札がたくさん入っていた。
あれはきっと、本物だったのだろう。
夜
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)