アリクイの一生/かいぶつ
 
トウ。」

そしてニュウはパルがつけていた
もう片方のイヤホンを着け、
アルバムのラストナンバー
「アリクイの一生」を独りで聞く。

ニュウはこの曲が嫌いだ。
何故だかとても悲しく聞こえるから。
燃える夕日がとても恐ろしく感じるから。
でもイヤホンを外してしまったら
聞きたくないことまで聞こえてきてしまいそうで、
つい最後まで聞いてしまうのだ。

どんなに幸せだろう。
このアルバムを二人で一緒に聞き終えることができたら。
でもそれは無理だった。
二人はとても若く、無知だから。
二人はとても臆病だから。
でも二人はそれだけで幸せだった。
 
ニュウはアルバムを聞き終える。
パルの顔を思い浮かべる。
 
悲しくなる。
ただ、悲しくなる。

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