健やかなるときも辞めるときも/aidanico
 
せるのにつながらないのだ。



三、それを性だとひとはよぶ



ひとからもよく指摘を受けるのだが、普段からよくする癖で、つい目を擦ってしまう。眠たいのとか疲れてるのかとか一々声をかけられるのがとても鬱陶しくはあるのだが、擦った目を開けた後の、インキの風景に水を零したようにいっせいに滲んでいく様子と、幾重にも重なった光の道筋、今日みたいに天気のいい朝なんかは、思わぬシャッターチャンスを見つけることが出来る。夏の暑さはコンクリートから蜃気楼のように立ち込めていて、賑やかな人の影をつくりだす。眩しいのに、今はただ目を閉じたくないのだ。この日常の一瞬を少しでも長く見ていたい。



きのうときょねん、あしたとさらいねんのそのさきも、ぼくがみるふうけいはおなじでいられるかしら。

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