赤/ゴースト(無月野青馬)
淡々と行く夕方の通学路
ガマガエルが鳴いている
少年の胸には外れた左手
少し折れ曲がっているけれど
大切な左手
昔から、クラスの中で浮きまくりの少年
授業以外で口を開く事はない
友達と呼べる相手も1人もいない
寂しいと思っていたのも最初だけ
すぐに慣れ、自分の立場からくる不利を許容していた
恋の季節が突然に訪れた夏
少年は心弾んだ
少年は魂を入れ替えた
隼のようになろうと入れ替えた
これは少年の好きなファンタジーゲームでの知恵だった
口下手だから、プリントで作った紙飛行機を気になる女の子に飛ばした
内側にはメッセージ、沢山の愛情表現、それから
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