薄荷/ゴースト(無月野青馬)
よパパを燃やすよ」とか
少年が饒舌になる
魔界の少女はニコニコしながら少年の話を聞いている
少年は魔神の子の口元から時折零れる欠片を舐めるのがとても好き
「君の見てきた事を教えてよ」
「僕がいつか歌にするから」
少年は魔界の少女に思いを打ち明け、青白い顔で笑ってみせる
ドアが閉まるリミットの明け方が迫る
二人はジャングルジムへ戻る
魔界の少女は
ジャングルジムを見てしまうとまだ遊びたいと目で訴える
公園の隅では
踏みにじられた白百合が
100年放置されていたかのように干からびている
「ルルルル・・・」
微かに香る
魔界の薄荷の澄んだ匂い
どんな記録にも映像にも残っていない甘い匂い
悪意の無い澄んだ匂い
僕の方が悪党だったと
少年は内省を繰り返す
匂いは薄れ
ドアが開かれることはない
戻る 編 削 Point(1)