埋葬/北村香織
帰り道、そこは国道が傍にあるので車の音がごうごうとするのですが、一瞬はまるで、その一切が無くなってしまったようでした。
鳩が仰向けになっていました、体には少しも傷がついていませんしかし、首から上がそっくり無かったのです。死んでいました。
コンクリートの歩道の隅にひっそりとあって、夕闇に紛れてしまいそうでしたが脚は濃い赤色で、ひときわ鮮やかでした。
私は鳩を抱きかかえて近くの墓地の砂に埋めてやるところを想像しました。
とうに乾いた血と首の付け根は真っ黒。可哀想だと思います。行儀よく畳まれた羽の下の肉や内臓に想いを馳せます。可哀想だと思います。重たいです、命は重たいのです。可哀想だと思います。
地面を掘り堀り、なんとも慈悲深く涙を流すのは私をとりつくろうため、ただそれだけのためです。
もうひとりは何も言わずに見ています。
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