のりピー、一緒に逃げよう/佐野権太
うすく流れる明け空に
寝返りをひとつ
隕石とか堕ちてこないだろうか
僕は僕の人生を
いいかげん
供養してあげたい
逃れようのない角度で
刺し込む朝は
強制ですか
それとも、任意ですか
*
中天にかげろう日輪が
匍匐する首筋を照射する
僕たちは
向日葵の蕾のふりをして
黄緑の顔をうなだれる
だうだうと腿をつたう
水脈を聴いている
罪人は
どこまでも罪人のままで
随分前から
裏側は崩れていたのだ
*
遠い津波の
しずかに辿り着く午後は
裸足の指を砂に埋めて
互いの微弱な心音を
探している
震源地はどこですか
本当は
どこだって構わない
*
無為に過ごした
夏の日の夕暮れに
生まれたままの
眉を染めている
マンモスなんて
初めから
どこにもいなかった
君があんまり正直に
告白するものだから
僕も黄色い涙を流している
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