違う存在/北村 守通
 
的な力の行使、という風に受け止めていたらしい。そして区別とは、近づくな、ということであったようだった。
私達の間では、同和政策によって対象となる家には多額の金額援助がなされている、という話が広まっていた。それゆえ、大きな日本建築の家屋が建てられるのだ、と。そうした建造物は皆の憧れではあった。そして、その憧れが自分達のものではないことに納得をするためにその理由となるべき存在が必要だったのかもしれない。
 そういった存在が居てくれさえすれば、世の中は単純だし、ものごとはスムーズに運ぶ。そういった存在が消えてしまえばそれまで円滑に進んでいたことがとたんにギクシャクし始める、といったことがたびたびある
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