なつめやし/marimite
 
きらめいたせかいは
ぼくの髪の中に落ちていて
ゆるやかに下っていくこの青い空は
ぼくの葉の茎の部分に等しい

ほら見ていて
貝殻を青く染めて
そこから滴るプラスティックの夕焼け

君の猫がぼくのくちびるを食べてしまったように
ぼくの爪が未だに君の心臓に刺さっていることを
今日漸く郵便受けから聞きました

遠ざかっていくバイクの音が
どうやら潮騒に似ているようで
困ったな

さわさわと揺れる蝉たちが
干からびた田にぽつりぽつりと落ちてゆきます

燃え尽きた夕日はきっと
君の脚先から侵入を始めていてもう手のひらまでを青く
青く

ぎざぎざとした表面を上ると
ぷつりとした実にたどり着くのだと言っていた髭の
あの甘いざらりとした夏のおもいで
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