五輪に潰れて汁が出る/かめたろう
 

顔をうつむかせ、喘ぎをもらして、ひがみ、濁った目をさらして
額にしわをよせ、眉あいにしわをよせ、目の玉は高速で震えて、
日常を犯さぬように、注意し、二律背反の就労をこなし、
おだやかに激情を見、トラウマを切り売りにし、
幼児性を少し出すように心がけて、
心は、普段の自分を押し殺して、書く瞬間に爆発させて
書き付ける自分と書いている自分を別個にし、その両方を肯定し、
見たくない物も見せたくない物も、捻り出す。

自己と他者と文章の境界は曖昧になり続け、
カフェインの量は増え、夜は寝れず、
自律神経の不協に末端は火照り、
のめり込み過ぎた世界観は家族にも友人にも受け入れがたく、
孤独こそが深化を促すと言い聞かせて、
今日もまた扉を閉める。

総じて常の身がまえを詩作の身がまえとし
詩作の身がまえを常の身がまえとせよ
戻る   Point(2)