夜明け前/さき
もうすぐ
もうすぐだねって
やってくる夜明けを
あの時は
あんなに胸をときめかせていたのに
今はベッドで寝転がったまま
リモコンがあればいいのに
なんて
考えるようになってしまった
同じ日々の繰り返しの果てが
そんなにいい匂いがしないこと
環状線を三周したあたりで
私は悟ってしまったのだ
まだ
予定の3分の1ぐらいの行程で
人より欲深いゆえに
棄権はしないし
人より浅はかなゆえに
思いつきをを口に出し
どうしようもない女
とか誰かに言わせてみる
「この靴が合わなくて足が痛いから
迎えに来てよ」
とか
「この口紅でキスしよう」
とか
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