くらげのしたい/ゆるこ
 


誰かが世界に対して何かを叫んで忘れている
片っ端から記憶が消えていくのはあらかた嘘だろうけれど、その場には忘却の二文字が
確かに、確かに、
脈々と 存在していた

嘘のように
本当のように


手首を押さえた鳥が、縷々と自分のことをくっちゃべっている

(一瞬の、線香を十として、界隈の避難児達を八とする)


忘却がカプセル状になって、
或いはミスト状になって
体内の機能を低下させて行く

(下手くそな漕ぎ手でごめんね、と呟いた)

色褪せていく無常の先に
君は瞬いたはずだった


僕の忘却が、破り捨てられた絶対的存在が


(付加価値すら亡くして、漂う)



戻る   Point(2)