疲弊しきった身体は何を生み出せるのか道に転がる蝉に問う/朽木 裕
 
頭痛で目が覚める。気分は最悪だ。
俺は起きなければならない時間を15分超過して起きる。
訳も分からず叫びだしたい。くそったれ!
ドクドク跳ね上がりそうな心臓。
目を瞑ればザァザァ血が流れる音がする。

雨か?
人間の胎内には絶えず血の雨が降る。

火をつける。ガスと煙草の両方に。
チェスターフィールドをくゆらせていると死に猫がすり寄って来た。

「ミルクがなくなったか?それともそろそろ時間か?」

魂がこの世から消え失せるまで。

手際よくプレーンオムレツを作ると外で可笑しな鳴き声で蝉がなく。
こういう時、俺はどうしたらいいのか分からない。分からない。

包丁
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