Like a rolling 結石/花形新次
 

見事に見破られてしまったよ

「あなた、もう痛くありませんね?」
医者の言葉は冷静だ
俺は表情を元に戻した

原因は石だった
尿管結石ってやつだ

腎臓から膀胱に続く
尿管という名の長い一本道
そこを転がり落ちる石
そしてそのとき
人は
転がる石のように
痛みにのたうちまわる

痛みはそのとき限り
膀胱に入ってしまえばそれっきり
先っちょから
お石さまが
顔を出すのを
気長に待つだけだ

病院を出る頃
辺りはすっかり明るくなって
朝の海風がとても心地良かった
俺のことを祝福してくれているようだった

俺はもと通り元気になっていた
「折角だからどこか行こうか?」

明るい俺の問いかけに
無言のおまえは
車のドアを開けた


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