騒々の庭/山中 烏流
首より上を
他人のそれと
挿げ替えたまま
歩いていく
そんな人々を
横目で追いながら
私は
ただ、その姿を
見送っている
*
少女Aは
単色の降る
狭い浴室の中で
風呂桶を
掻き回し続けているから
いつまでも
帰路を辿れずに
途方に暮れている
少年Aは
様々な言葉を並べた
ショーケースに
見とれてしまっているから
いつまでも
「言葉」を知れないままで
そこに
立ちすくんでいる
*
の行く先を
案じた人がいた
けれども
その たちは
私の顔をしていないし
人々に
私の言
[次のページ]
戻る 編 削 Point(7)