孕む、風を、未来を/望月 ゆき
いまま
散らばりたいと、思っていた ずっと
風から いちばん遠いかたちで
なのに
それと知らない過去によって ぼくたちは
いつだって、束ねられてしまう
どんな朝も決してありふれてはいないのに
川は、今もながれているだろうか
測れない水位を見下ろして
立ち止まったままのぼくたちを、
日照りの空が嘲笑している
からだの中を 言葉がめぐりつづけているのに
罫線がひかれると
それはもう、声になれない
それでも、
それでも
できることなら、ぼくたちも
誰かの未来を産んで、そして
そのとんでもない不幸を 真実と名づけて
ときどき、それと嘘を入れ替えたりして
終点のない線路の上で、
遊ぼう
『未詳02』掲載作品
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