性と死と血と果実とクーラーの箱/木屋 亞万
夜に開く花々に茎を突き刺し続けた男は死後
手の生えた花に、その肢体の隅々まで鉄の茎で刺され続ける
死後の性行為は互いに刺しあう
男は茎を股座に
女は刀を鳩尾に
紅白の体液を撒き散らしながら
男女は悲鳴をあげ続ける
愛し合わない男女の交錯ほど醜いものはない
愛し合う男女のまぐわいほど美しいものはない
その声も表情も臭いも、血の色さえも
人肌には柔らかすぎる布団の上で
幾組もの男女が身体を重ねている
それは死後の世界で、
昨日わたしが見た夢だった
死神は常に死んでいるか
死の神であるがゆえに死ぬことはないか
詩人は常に詩的であるか
人間であるがゆえに私
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