その詩集をひらくと/瀬崎 虎彦
 
空という無辺際をまとって
バランスから身を乗り出し
石器時代の少し前までしなやかに跳ぶ


言葉による情報伝達のゆるやかさは
ある種の懐かしさをもって書棚から
ペール・グリーンの表紙にこぼれる


いらだたしげに新緑は裂け始めて
目抜き通りに音楽のモザイクが出来上がる
ぼくたちは横溢する歓喜に震える

その詩集をひらくと詩が書きたくなる
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