その詩集をひらくと/
瀬崎 虎彦
空という無辺際をまとって
バランスから身を乗り出し
石器時代の少し前までしなやかに跳ぶ
言葉による情報伝達のゆるやかさは
ある種の懐かしさをもって書棚から
ペール・グリーンの表紙にこぼれる
いらだたしげに新緑は裂け始めて
目抜き通りに音楽のモザイクが出来上がる
ぼくたちは横溢する歓喜に震える
その詩集をひらくと詩が書きたくなる
戻る
編
削
Point
(2)